今回はブラックバスのスポーニングについて、海外の研究データなどを参考に詳しく解説していきたいと思います
バスの動きがわかれば、釣りの時に「どういう場所を狙えばいいのか?」というヒントにもなり、釣果UPに繋がる事間違いなしです
内容は、プリスポーン(産卵前)、スポーン(産卵期)、アフタースポーン(産卵後)という一連の流れで紹介し
最後に気になって調べた「産卵が失敗したらどうなる?」「春に釣った後のリリース方法」などをまとめました
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プリスポーン(産卵前)
まずはプリスポーンという産卵前の状態です
この時の水温の目安は10〜15度となります
オス・メス両方が水温が安定している快適なディープから、産卵の為に浅瀬へ移動していきます
この時のルートは毎年決まっているようで、これは科学的な情報は無く、本能的にそうなっているようでした
なのでそのルートを知る事で、スポーニングの段階や、「次ここが釣れるかな」という予想が立てやすくなります
この時の浅瀬はどこでもよいという訳じゃなくて、卵を孵化させる為の太陽光が当たる場所というのが重要となり
これは透明度に依存するようになり、クリアなら1.5〜2m、濁っているなら60cm〜1mという感じになります
そして、浅瀬に上がってきてすぐに産卵する訳じゃなく、産卵の為の体力づくりの為の捕食をするようになります
その捕食場所は、産卵する浅瀬の近くにある、一段深い場所や、浅瀬の最奥などになり、セカンダリーポイントと呼ばれる場所になります
産卵前の捕食をする場所や、待機する所だと思ってもらっていいです
同時期にベイトフィッシュも産卵の為に、浅瀬へ集まるので
バスもベイトも快適になる、水温の変化をうけずらい場所かつ、隠れる場所があればそこが最適な捕食場所となります
スポーン(産卵期)
次にスポーンという産卵期の状態で、スポーニングといえばこのタイミングをさす時もあります
水温の目安は15〜20度となります
ここからの行動はオスとメスで違ってきます
オスは先に浅瀬へ入り、産卵場所となる底室が硬く卵を産みつけやすい場所を探し
ヒレを使って、泥やゴミなどを払いキレイな底を露出させて、産卵床を作ります
この時に胸ビレや尾びれを怪我してしまうバスもいるようです
ぼくらで言うと、彼女が家に来るから部屋をキレイにして、掃除しておこう!という感じです
そしてその整えられた産卵床は、丸いすり鉢状になっていて、大きさはバスのサイズにもよりますが50cm前後になっています
この時、アシやカバーの周りなど、鳥などからも卵を守りやすい場所に作られます
メスは、少し遅れて浅瀬へやってきて、ベッドがある場所の一段深い場所でオスが誘ってくれるのを待っていたり
日向ぼっこをしてお腹の卵を温めたりしています
そして、オスがメスを探して、ペアリングという求愛行動をします、人間で言う「告白」や「プロポーズ」みたいなものだと思います
その告白が成功しペアになり、オスが、メスを自分の産卵床へ連れていきます
浅瀬で2匹のバスが泳いでいる時があるのですが、あれはオスがメスを連れて行っている最中になりますが、そうじゃない場合もあります
そして、産卵は満月のタイミングで行われます、これは月の引力の影響で「大潮」とも関係してきて
大体満月の前後3日ほどの間で産卵となりますが、
場所やペアリングの関係で間に合わなかったバスは、次の新月の大潮で産卵するようになります
そして産卵がはじまると、メスのお腹にオスが体当たりして、お腹の卵が出やすくしているので
見るとバス同士がぶつかり合っているように見えます
その状態がしばらく続き30分〜1時間ほど掛けて産卵が終了します
この時メスはすべての卵を産み落とす訳ではなく、数回に分けて産卵するようになります
これは1つのオスにすべて任せて、万が一卵が食べられてしまうという事があるので、その保険というか生命維持の為の動きのようです
アフタースポーン(体力回復期)
次はアフタースポーンという産卵後の状態です
水温の目安は20℃ですが、これは産卵の状況によって左右するので参考程度にしてください
まずオスは、産卵床でベッドの卵を育てていきます
観察するとヒレをずっと動かしているのですが、あれは卵に泥がつかないように水を掛けて、キレイな状態を維持しています
あとは、ブルーギルや他の小魚や、他のブラックバスから卵を守ります
ブルーギルなどが卵に近づいてくると、噛みつくような動作をして追い払います
この行動は夜中も続き、捕食も中々できないのでげっそりとしてくる時が多いです
そして大体1〜5日ほどで卵が孵化します、暖かいとより早くなります
稚魚は生まれるとボール状になり、次はその稚魚ボールを守るようになります
その稚魚は7〜10日程度で、体長が1cmほどになると、自分で成長できるようになるので、オスは守るのをやめて
ここは衝撃的だったのですが、近くにある他の稚魚を食べて体力を回復するようになるそうです
次にメスは、産卵が終わった後失った体力を回復する為に捕食するようになります
オスが産卵床を守っている近くに待機していて、
卵を食べに来たブルーギルなどは、向こうからやってくるので捕食しやすく
この時、産卵場所の近くで冬眠から覚めたザリガニが活動をはじめ
これも手軽に食べやすいので、ザリガニをメインで食べるメスバスが増えるとされています
このアフタースポーンでは、オスもメスも両方とも、産卵後は体力回復の為に他の時期よりも捕食をしやすくなり
稚魚が巣立った後は、浅瀬で捕食を続けるタイプと、沖に出てベイトフィッシュを追うタイプが居るので
このタイミングではベイトフィッシュの存在がバスを見つける時に重要となります
スポーニング中に釣りをする時のまとめ
スポーニングとバス釣りをする時に狙うポイントをまとめると
プリスポーンは、産卵場所となる浅瀬から1段深い場所か、最奥などにあるアシの中で捕食モードになっているのでそこを狙い
スポーニング中は、大潮付近では産卵モードで釣るのが難しいのでパスをして
次の産卵に備えている、スポーンのバスの場所を狙うのがおすすめです
そして、アフタースポーンでは体力回復の為に、浅瀬でザリガニを狙うタイプと、沖に出るタイプが居るので、ベイトフィッシュの存在を確認しつつ釣りをしていく
そういう釣り方をする事で釣果UPへと繋がっていくようになります
ブラックバスのスポーニングの気になった事を調べてみた
ここからはバスのスポーニングについて、気になった事を更に深く調べてみました
すべてのバスが一気に産卵するわけじゃない
1つ目は、「湖すべてのバスが一気に産卵するわけじゃなく、大型のものから順番に産卵していく」という事です
大型のバスほど立場や体力がある為、浅瀬へ上がる平均的な水温になる前から移動をはじめて
一番条件が良い、浅瀬+オーバーハングなどで卵を守れる場所を陣取るようになります
そして、2週間に1回大潮がやってきて、その次に体力があるバスが産卵をはじめる、という感じになり
日が進むにつれてバスのサイズが下がっていくようになります
なので、その湖にプリスポーン、スポーニング、アフタースポーンのバスが混ざった状態になります
スポーニング自体はだいたい数週間から、1ヶ月以上続くとされています
産卵の成功率は0.01%
2つ目は「産卵の成功率」についてです
魚卵の一般的な生存率は、条件によって左右されますが0.01〜0.05%と低いので、一度に多くの卵を生むようになります
その数は平均で4000個とされていて、メスバスサイズに比例して3000〜45000個と個体差が多くなります
例えば平均の4000個の産卵を行い、低い0.01%でいくと稚魚になるのは40匹となりますが
その稚魚になってからもまた過酷なサバイバルが始まります
産卵の失敗(春に釣れたバスのリリース方法)
3つ目は「産卵が失敗するとどうなるのか」です
卵が外敵によって食べられたり、水位の変化によって守れないようになると、産卵が失敗となります
卵を食べられた場合の実験をされていたのですが
産卵床に卵が産み落とされた後に、守っているオスのバスを取り除くと
エッグイーターと呼ばれる小魚だったり、ブルーギル、コイなどによって15分もしないうちに卵が食べられてしまうという結果になっていました
取り除いたバスをすぐリリースすると、自分の産卵床へ戻っていき、また卵を守りはじめるという習性もわかったそうです
なので、釣り上げたあとは、産卵床へ戻る時間も考えて、できれば5分以内にリリースする事で、
産卵への影響を最小限に抑える事ができるのではないかなと思われます
ここは地域のルールにしたがってリリースしてください。
そして、水位が変化し産卵床が水面から出た場合は、もう一度産卵床を作る所から再開となるようです
メスバスが一度にすべての卵を産まない理由は、そういう失敗の事も考えての事というのが本能的にあるのかなと思いました